歩み
Journey
漆喰による表現は、まっすぐに始まったわけではありません。
2011年、天然石を扱うことからフリーランスとしての活動を始めました。石という自然素材に向き合うことが、現在の制作の原点です。
当時、生きる気力を失いかけている人たちから多くの相談を受ける中で、「生きる力は衣食住から」という言葉に出会いました。その言葉をきっかけに、「住」に関わる仕事を身につけたいと考えるようになります。

模索を続ける中で、石灰から漆喰をつくれることや地産地消の考え方など、さまざまな出会いと体験が重なりました。
そこから地域の素材を活かし町づくりへとつなげたいという思いが芽生え、拠点づくりにも挑戦しましたが、思うように進まず断念しました。
それでも「住」の基礎から学び直すことを選び、木造建築の一年課程へ進みました。

建築を学んだ後、土や漆喰を扱う左官会社に入りましたが、身体を痛め短期間で離れることになります。
その後は現代的な施工を主とする会社に所属し、現在も現場に立ちながら生活の基盤を築いています。

制作に取り入れている伝統的な左官技術は、組織の中で体系的に学んだのではなく、出会った職人の方々から個人的に教えを受け、少しずつ積み重ねてきました。
制作の道へ進むことを決めたのも、ひとつの出来事によるものではありません。偶然の出会いやいくつかの言葉に背中を押される経験が重なり、自ら選び直すようにしてアートの道へ歩みを進めました。
協働や企画にも関わりましたが、さまざまな経験を経て、最終的に選んだのは個人の表現として発表する道でした。

分野は変化してきましたが、一貫しているのは自然素材と向き合う姿勢です。
天然石、石灰、漆喰。形は変わっても、素材への関心は途切れることなく続いてきました。
振り返ると、それぞれの仕事は独立しているようで、一本の糸でつながっているようにも感じます。
遠回りや試行錯誤を重ねながらも、その都度自ら選び直してきた道の先に、現在の漆喰による制作があります。
これまでの歩みは一直線ではありませんが、自然素材とともに積み重ねてきた連なりの時間です。









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